
小児科に興味がある!
新卒でも大丈夫?



成人の経験しかないけれど大丈夫?
小児科に興味があるけれど、「やっていけるの?」と不安に感じている人、多いのではないでしょうか。
今回は、こども専門病院で6年の実務経験があるたまごが小児科看護師の仕事について詳しく解説します。



この記事を読めば、小児科看護師の業務内容や給料、向いている人の特徴などについて理解することができます。
少しでも小児科に興味がある看護学生や看護師は最後まで読んで参考にしてみてください。
小児科の特徴


まず、小児科の特徴について知っておきましょう。
小児科とは
小児科とは、一般的には新生児から15歳までのこどもを対象とした診療科ですが、慢性疾患を抱えていたり成人移行の途中であったりする場合には、15歳以上の患者さんも対象としています。
成人と大きく異なるのは、成長・発達過程にあることと、先天性の異常や疾患が占める割合が多いことです。
小児科でよくみる疾患
小児科が対象とする疾患は多数ありすべては書ききれませんが、先天性疾患や感染症などが代表的です。
- 先天性心疾患(心室中隔欠損症、ファロー四徴症など)
- 消化器疾患(胆道閉鎖症、鎖肛など)
- 脳神経疾患(脳性まひ、水頭症、二分脊椎など)
- 運動器疾患(先天性股関節脱臼、多指症・多趾症など)
- 腎・泌尿器疾患(先天性水腎症、膀胱尿管逆流症など)
- 内分泌疾患(先天性代謝異常症、1型糖尿病など)
- アレルギー性疾患(気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど)
- 感染症(感冒、インフルエンザ、RSウイルス感染症、肺炎、胃腸炎など)
- 免疫性疾患(川崎病、クローン病、潰瘍性大腸炎など)
- 脳神経疾患(てんかん、脳炎、脳症など)
- 腎・泌尿器疾患(尿路感染症、ネフローゼ症候群など)
- 腫瘍性疾患(白血病、悪性リンパ腫など)
小児科看護師の仕事内容
小児科看護師の仕事内容は主に次の5つです。
- 医師がおこなう処置や検査などの準備、介助
- 日常生活援助
- プレパレーション・ディストラクション
- 家族看護
- 集中治療看護(PICU、NICUなど)
医師がおこなう処置や検査などの準備、介助
小児科では、成人と比較すると看護師が直接処置をする機会は少ないです。
病院によっても異なりますが、基本的には医師の介助をおこなうという認識で良いでしょう。



動かずにじっと耐えられるこどもの採血は看護師がやっていたけれど、点滴ルート確保は医師がやっていました。
医師がスムーズに処置をおこなえ、こどもたちの苦痛が少しでも少なくなるように、事前準備を入念におこなうことが重要です。
看護師が主体でおこなう医療行為には次のようなものがあります。
点滴管理、点滴ルートからの薬剤投与、採血(動かないこども限定)、血糖測定、胃管挿入・抜去、導尿、浣腸、吸入、吸引、褥瘡処置など
日常生活援助
こどもたちが快適な入院生活を送れるよう、成長・発達段階に合わせた日常生活援助を提供します。
同じ清拭という看護ケアであったとしても、患児さんの年齢や発達状態、病状によりケア方法を工夫する必要があります。
患児さんが新生児の場合はもちろん全介助ですが、病状が落ち着いている小学生の場合は自分で拭けるところは自分で拭くように促します。
入院中であってもこどもたちの成長や発達を妨げることがないよう、常に発達促進を意識した関わりが求められるのが、小児科における日常生活援助の特徴です。
プレパレーション・ディストラクション
プレパレーション・ディストラクションも小児科看護師の重要な仕事です。
こどもが入院や検査、治療をうけるときに、発達に合わせた説明や配慮をおこなうこと
たとえこどもであっても、自分の病気や治療について知る権利があり、自己決定する権利があります。
医療者側には正しく説明する義務がありますので、こどもたちが納得したうえで入院や治療に望めるよう介入します。



手術を怖がっていた患児さんに、好きなキャラクターを使った絵本を作って説明したら、「手術がんばる」といってもらえて嬉しかったです。
「気を散らす」という意味。処置中に遊びを取り入れることにより、痛みが苦痛を軽減させること。
こどものなかでも特に言葉の理解が難しい乳幼児期のこどもにとっては、入院や治療は知らない人に痛いことをされるだけの怖い体験となってしまいます。
ディストラクションをおこなうことで苦痛を和らげるのも、看護師の腕の見せどころです。



大泣きしながら処置室にきた患児さんでも、おもちゃを使いながら処置をはじめたら、泣き止んでくれました。
家族看護
小児科では、こどもへの看護と同じくらい家族への看護も重要です。
こどもに病気が見つかって入院が必要になったら、パパさんやママさんは心配になりますし、不安でいっぱいなはずです。
そして、もし入院するこどもにきょうだいがいたら。
よくわからないままきょうだいが家からいなくなってしまってパパとママが不安そうにしていたら、きょうだいもとっても不安になるはずです。
このように、こどもの親だけでなくきょうだいのことも含め家族全体が一丸となってこどもの入院という試練を乗り越えられるようなサポートが必要です。



親の不安は、おどろくほどにこどもに伝染します。
親の不安を軽減させることが、こどもの安心につながります。
集中治療看護(PICU、NICUなど)
大学病院やこども専門病院などには、こども専門の集中治療室や新生児集中治療室があります。
集中治療を必要とするこどもに対して、投薬やバイタルサインのモニタリング、急変対応などをおこないます。
小児科看護師に向いている人の特徴


- こどもが好き
- 気持ちの切り替えが得意
- コミュニケーションが得意
- 忍耐力があり、世話好き
こどもが好き
当然ながら、こどもが好きな人は小児科看護師に向いています。
しかし、こどもが好きというだけでは小児科看護師はつとまりません。
こどもは可愛いのですが、病状によっては体のしんどさから機嫌が悪くなってしまったり、パパやママと離れ離れになって寂しくて泣き続けたりするため、対応に困ることがあります。
そして、成人との決定的な違いは検査や処置に時間がかかることです。
薬を飲むにしても、清拭をするにしても、すんなり受け入れられるこどもは多くはありませんので、根気強さや忍耐力が求められます。
気持ちの切り替えが得意
小児科看護師をしていると、嬉しいことがある反面辛いこともたくさんあります。
何年小児科看護師をしていても、こどもが苦しんでいる姿をみるのは辛く苦しいものです。
また、ご家族からのクレームや泣き止まないこどもへの対応などで精神的に消耗してしまうこともあります。
「仕事は仕事」と割り切れる人や、気持ちの切り替えが得意な人は小児科看護師に向いています。
これは小児科のみならず、看護師全体にいえることですね。
コミュニケーションが得意
小児科看護師は、コミュニケーション能力が必須です。
さまざまな年齢、そして発達段階にあるこどもたち一人ひとりに合わせた話し方や説明が求められるからです。
こどもの好きなものや遊びなどを通してそのこどものことを知ろうという姿勢はこどもたちにも伝わるようで、次第に心を開いてくれると嬉しいものです。
小児科看護師のやりがい
- こどもの笑顔がみられる
- こどもの成長や発達に関われる
- こどもが元気になっていく姿を見届けることができる
- こどもや家族と信頼関係が築ける
こどもの笑顔がみられる
筆者にとっては、こどもの笑顔が一番のやりがいでした。
小児科看護師には同じように思っている人がたくさんいると思います。
こどもたちの笑顔があれば、どんなに疲れていても大変でも全てが吹き飛ぶくらい元気になれるのです。
こどもの成長や発達に関わることができる
こどもの成長や発達に関わることができるのも、小児科看護師の醍醐味です。
小児科では、入退院を繰り返すこどもが入院のたびに成長している姿や、苦手な採血を頑張って克服している様子など、こどもの成長を目の当たりにすることが多く、やりがいにつながります。
こどもが元気になっていく姿を見届けることができる
こどもが回復していく姿を見守ることができるのも、小児科看護師のやりがいです。
こどもの回復スピードの早さには毎度驚かされます。
入院時には苦しそうで見るに堪えないような姿であったにも関わらず、数日後には元気になって退院していくような姿をみると、「よし!自分もまた頑張ろう!」とパワーをもらえるものです。
こどもや家族と信頼関係が築ける
自分のした看護や関わりによって、こどもや家族と信頼関係が築けることほど嬉しいことはありません。



こどもにも家族にも毎日声をかけ続けていたら、
「担当はたまごさんがいい~」と
いってもらえるようになったことがありました。
小児科看護師の辛いこと
残念ながら、小児科看護師ならではの不安や辛いこともあります。
- こどもが苦しんでいる姿をみるのが辛い
- 家族への対応が難しい
- 処置のスキルが身に付きにくい
- キャリアプランに悩む
こどもが苦しんでいる姿をみるのが辛い
こどもが苦しんでいる姿をみるのは、本当に辛いです。
特に、言葉での理解が難しい幼いこどもたちがひたすら泣き続けている姿を見ると、胸が苦しくなります。
ときには、こどもの旅立ちを見届けなければならないこともあります。
「なぜこんなに小さい子が苦しい思いをしなければならないのか」と、気持ちが落ち込んでしまうようなこともあるかもしれません。
家族への対応が難しい
ご家族への対応に悩むことも多々あります。
育児に一生懸命なご家族もいれば、父母の連携が上手くいっておらずどちらかが悩んでいるご家族や、共働きで忙しいご家族などさまざまなご家族がいます。
こどもの場合は特に、ご家族を巻き込んでの入院生活となるため、ストレスや不安でいっぱいのご家族と関わる際は、どのように介入して良いか悩んでしまうことも事実です。



そういうときは、先輩看護師を頼るのが一番です。
処置のスキルが身に付きにくい
小児科看護師あるあるなのですが、主に注射系の処置スキルが身に付きにくいことも悩みの種です。
新卒で小児科に配属され後から異動や転職などで成人領域へいった場合に、採血や点滴の手技獲得に苦労することがあります。



私も、いまだに採血への苦手意識が消えません。
また、成人経験者が小児領域に異動した場合には、処置の面では物足りなさを感じてしまうかもしれません。
キャリアプランに悩む
小児看護の経験しかない場合、「成人も経験しておいた方が良いかな?」などとキャリアに関して悩む看護師も多いです。
小児科看護師のキャリアアップに関しては、後日別の記事にしますのでご覧ください。
小児科看護師の給料





小児科のお給料、気になるなぁ。
小児病棟看護師の場合、平均年収は450万円~500万円です。
筆者も、残業代を含めて450円~500万円程度の年収でした。
厚生労働省による令和3年度賃金構造基本統計調査によると看護師の平均年収は498.6万円ですので、小児科看護師の給料は平均と比べても大きな差はないでしょう。
小児科看護師になる方法
小児科看護師になるには、看護師免許以外に特別な資格は必要ありません。
看護師免許さえあれば、誰でもなることができます。
もちろん、新卒看護師や、ブランクのある看護師でも全く問題ありません。
小児科看護師として働ける代表的な職場は次のとおりです。
- 総合病院の小児科
- こども専門病院
- 小児科クリニック
病棟看護師の場合大学病院などの総合病院の小児科病棟配属をめざすことになりますが、小児科は人気のある診療科であるため、必ず希望が通る保証はありません。
「絶対に小児看護がやりたい!」という人は、こども専門病院への就職をおすすめします。
こども専門病院は、「こどもだけの総合病院」をイメージするとわかりやすく、診療科ごとに病棟が分かれていることが多いため、疾患について専門的な学習が可能です。



私も、新卒でこども専門病院に就職しました♪
こども専門病院は、全国に27ヵ所あります。
北海道立子ども総合医療・療育センター
宮城県立こども病院
茨木県立こども病院
自治医科大学とちぎ子ども医療センター
群馬県立小児医療センター
千葉県こども病院
埼玉県立小児医療センター
東京都立小児総合医療センター
国立成育医療研究センター
太陽こども病院
神奈川県こども医療センター
静岡県立こども病院
長野県立こども病院
岐阜県総合医療センター小児医療センター
あいち小児保健医療総合センター
愛知県心身障害者コロニー中央病院
滋賀県立小児保健医療センター
京都府こども病院
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター
中野こども病院
兵庫県立こども病院
広島県立広島病院成育医療センター
福岡市立こども病院
聖マリア病院母子総合医療センター
大分こども病院
鹿児島こども病院
沖縄県立こども医療センター
しかし、その場合は成人の病棟などへの病院内異動ができなくなる点には注意が必要です。
小児科看護師の経験が活かせる職場については、以下の記事もご覧ください。


まとめ


今回は、小児科看護師の仕事内容ややりがい、給料、向いている人、なり方について解説しました。
小児科看護は、看護師免許がありこどもが好きな人であれば誰でもなることができ、たくさんのやりがいを感じることができる素敵な職業です。
新卒看護師の場合はフレッシュさを活かすことができますし、子育て経験のある看護師の場合は自分の経験を仕事に活かすこともできます。
処置スキルが身に付きにくいというデメリットはあるものの、アセスメント能力やこどもとの関わりに関してのプロフェッショナルとなれることは間違いないです。
こどもが好きな人、こどものために頑張れる人は、ぜひ小児科看護師をめざしてみてくださいね。



新卒で小児科をめざして本当によかったです♪
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[…] そもそも、どのような看護師がこどもと関わる仕事に向いているかについては、こちらの記事もご覧ください。 […]