看護師には、日々変化していく医療に柔軟に対応するための継続学習が求められます。
特に新人看護師の時期は、看護に必要な知識や技術を身に着けていく段階であり、日々の勉強が必要不可欠です。

わかってはいるけれど、疲れて勉強どころじゃない。
慣れない仕事や現場での緊張などにより、仕事に行くだけでクタクタに疲れ切ってしまいますよね。勉強の必要性を理解していても、勉強するための時間を作り出すのは難しいものです。
筆者も新人時代は仕事から帰宅したら強烈な眠気に襲われ、休日は夕方まで寝ているなんてこともザラでした。
しかし、そんななかでも時間をみつけて勉強を続けた結果、先輩から「たまごさんの勉強ノート私もほしい」「学んだことが現場で活かせているね」とほめてもらえるようになりました。



今回は、私自身の経験を踏まえながら新人看護師におすすめの効率的な勉強法5選をご紹介します。
この記事を読めば、忙しい新人看護師が効率的に勉強するための方法を理解できます。
勉強方法に悩む新人看護師はぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
新人看護師におすすめの勉強法6選


新人看護師の勉強では、理由や根拠をセットで理解することが重要です。
国家試験のための勉強では丸暗記で乗り切れた部分もありましたが、臨床においては正しい理解が求められますので、そのための勉強方法を5つ解説していきます。
- 本を用意する
- まとめノートを作る
- 予習・復習をセットでおこなう
- インプット・アウトプットをセットでおこなう
- 関連図を作る
- 先輩に聞く
本を用意する
まずは、本を用意しましょう。
疾患に関して勉強する場合は、自分が所属する部署が対象としている診療科に関する本(循環器科であれば循環器に関する本、腎臓内科であれば腎臓に関する本など)を最低でも1冊、用意しましょう。
その際、看護についても触れられた本があると内容の理解がしやすいです。観察項目やケアプランなどが書かれたものを探してみましょう。
また、看護技術について勉強したい場合は、さまざまな技術が掲載されている本を選ぶことをおすすめします。
これらの本は本屋さんやインターネットで購入しても良いですし、病院内の図書館などにも参考になる文献が置いてあることがあります。
まとめノートを作る
新人看護師の勉強では、まとめノートの作成をおすすめします。
ここで重要なのは、単に本に書かれている内容を書き写すのではなく、「明日の自分に向けたノート」をイメージして、自分が臨床で必要になる情報を項目ごとにまとめていくということです。
ノート作りは紙やパソコン、タブレットなど何を使っても良いのですが、筆者は紙のノートを強くおすすめします。
勤務中にも持ち歩き、いつでもどこでも確認できるからです。
そして、最終的にはそのノートをみれば対象の疾患や看護について何でもわかるという状態をめざしたいため、ノート作成の際には余白を多めに設けておき、後から書き足せるようにしておきましょう。
具体的なノートの書き方について、いくつか画像を貼り付けます。
これは筆者が作成していたまとめノートです。




また、SNSをみていると可愛らしいまとめノートもたくさん出てきます。
可愛いノートを作ることでテンションが上がったり仕事へのモチベーションに繋がったりする分には良いのですが、+αの労力がかかり疲れてしまっては本末転倒です。
まとめノートは自分のためだけのノートですので、後から見たときに自分が理解できる内容になっていれば、特に装飾などはしなくても良いでしょう。
色も、たくさん使いすぎると大切なポイントが分かりづらくなるため、3色程度に留めることをおすすめします。
疾患に関するまとめノートの作り方
- 正常な状態と異常な状態(疾患の状態)との比較
- 症状
- 診断のために必要な検査、注意して観察すべき検査項目
- 治療法
- 看護のポイント
疾患を正しく理解するためには、解剖生理レベルで正しく理解しておく必要があります。
そうすることによって、症状や治療についても考えやすくなります。
そして、看護のポイントについても、全てではなくても良いのでポイントを絞って記載しておくことをおすすめします。
筆者は、ノートを2種類に分けていました。
A4サイズのルーズリーフには疾患理解のための解剖整理や機序に関してを記載し、ナース服のポケットに入るサイズのメモ帳には症状や検査データ、観察項目など臨床の現場ですぐに確認したい内容についてまとめていました。
看護技術に関するまとめノートの作り方
- 必要物品
- 手順のポイント
- 注意するポイント
- 観察項目
こちらも、臨床ですぐに見ることができるように小さめのノートにまとめておくことをおすすめします。
そして看護技術の勉強の際に注意してほしいのは、自分の部署でおこなっている方法や物品を確認しておくことです。
本にはごく一般的な内容が記載されていますが、病院や病棟によっては手順や物品が異なる場合もありますので、先輩に聞くなり、部署の看護手順を見るなりして事前に確認しておきましょう。
予習と復習をセットでおこなう
新人看護師の勉強の基本は、予習と復習をセットでおこなうことです。
新人看護師の場合、先輩看護師から次の日の受け持ち患者の情報や疾患、予定されている看護技術に関する情報をもらえることが多いと思います。
その内容は必ずすべてメモに残し、翌日までに最低限の勉強はしておきたいところです。
もちろん、すべてについて勉強するのは難しい場合もあるため、疾患であれば発症の機序や症状、検査、治療、看護についてなどポイントを絞って簡単にメモしておく程度で構いません。
そして、大切なのは復習です。
自分が経験した看護技術や受け持った疾患について予習しておいた内容に、その日に学んだことや先輩に指導してもらったことを追加していく形で理解を深めていきましょう。
インプットとアウトプットをセットでおこなう
勉強ときくとインプットのイメージが強いという人も多いかもしれませんが、実はインプットと同じくらいアウトプットも重要なのです。
これは新人看護師の勉強においてもいえることです。
同じ部署に同期がいて、それぞれが勉強したことを説明し合うようなことができるのが理想的なのですが、そうはいってもなかなかそこまでできないことも多いことでしょう。
その場合は、自分ひとりでも良いので、目の前に生徒がいて自分は先生になったつもりで、勉強したことを頭で整理しながら口に出して説明してみてください。
そこで説明できないところや困ってしまうところは、理解が不十分な箇所ですので、もう一度本やノートに戻って理解を深めましょう。
この作業は、数日後にも繰り返すことで記憶として定着しさらに理解が深まっていきます。
関連図を作成する
関連図の作成もおすすめです。
関連図を書くことで、複雑な疾患も理解しやすくなったり、患者に起こっていることを論理的に理解しやすくなったりします。
この作業は時間がかかりますので、復習も兼ねて休日におこなうことをおすすめします。
先輩に聞く
ときには、先輩に聞く勇気をもつのも重要です。
わからないことを自分で何も調べずに最初から先輩に聞いていては成長が見込めませんが、自分なりに一生懸命調べて勉強した結果、それでもわからないことがあれば先輩に質問してみましょう。
話しやすい先輩やプリセプターの先輩に「調べたけれどわからなかった」と伝えたうえで質問すれば、そのことについて理解できる本を教えてもらえたり、一緒に考えてくれたりすることでしょう。
忙しい1年目看護師が勉強時間を確保するためのコツ


- 勉強を習慣化する
- 優先順位をつける
- 隙間時間を使う
- 睡眠時間を削ったり1日中勉強し続けたりすることは避ける
勉強を習慣化する
まず大切なのは、勉強を毎日の習慣にすることです。毎日というところがポイントです。
「昨日勉強したから今日はいいや」と考えてしまうと、その次の日もさらにその次の日も、勉強に対するモチベーションが低下していってしまいます。
10分や15分だけでもいいので、とにかく毎日継続することが重要です。
「帰宅後すぐ」「お風呂の前に」「寝る前に」など、勉強するタイミングを固定しておくと忘れずに取り組みやすいです。
優先順位をつける
効率よく勉強するためには、優先順位をつけることも大切です。
新人看護師は次々と課題が出されたり受け持ち患者が変わったりと、勉強しなければならないことが毎日蓄積されていきます。
すべてをタイムリーにこなすのは超人でもない限り難しいので、明日受け持つことがわかっている疾患や経験する可能性のある看護技術から優先的に勉強をすすめましょう。
その際も、全てを網羅するのが難しい場合には手順やポイントをメモしておくだけでもとりあえずはOKです。不足している部分は、翌日業務後の復習や、休日に埋め合わせをしていきましょう。
また、命に直接関わる項目に関する勉強も、優先順位は高くなります。
例えば、心肺蘇生法などについてです。
隙間時間を使う
身体的にも精神的にもハードな新人看護師には、隙間時間を有効に使うことをおすすめします。
筆者も、お昼休憩に少しだけ本を開いて午後からの予習をしたり、通勤電車のなかで勉強したりして、新人時代を乗り切ったといっても過言ではありません。
ただし、病院外で勉強する際には個人情報の取り扱いには十分に注意してくださいね。
睡眠時間を削ったり1日中勉強することはおすすめできない
新人看護師時代には、勉強するための時間がどれだけあっても足りない状態になりやすいですが、睡眠時間を削ることはおすすめできません。
睡眠時間が減ることによって翌日の仕事でミスをしてしまったり頭が働かなかったりということがあれば、本末転倒です。
また、休日においても1日中勉強漬け状態は避けましょう。
ただでさえストレスが貯まりやすい新人看護師時代に休日まですべて勉強に使っていては、身も心も持ちません。
友人と話したり、お出かけしたりと、リフレッシュするための時間を確保することも忘れないようにしてください。
勉強したことを臨床の現場で活かすには


最後に、勉強した内容を臨床の現場で活かすための方法を2つご紹介します。
- まとめノートをいつでも見られるようにしておく
- メモを取る習慣をつける
まとめノートをいつでも見られるようにしておく
これは先述したとおりなのですが、勉強したことをいつでも確認できるように、まとめノートを持ち歩く習慣を付けましょう。
そうすれば、いざ先輩から質問された内容に対して「せっかく勉強したのに答えられなくて悔しい」という事態を防ぐことができますし、なにより臨床で自分の知識が使えたという達成感は次への自信にも繋がります。
メモをとる習慣をつける
臨床では、まとめノートの他にメモ用のノートを持ち歩くことをおすすめします。
業務中に湧いてきた疑問や先輩に指導してもらったことなどをメモしておいて、あとから調べたり、まとめノートに追加していきます。
勉強する際「今日はこれについて勉強するぞ」といったようにテーマに沿って勉強することももちろん大切なのですが、臨床の現場で疑問に思ったことや興味を持ったことに焦点を当てて勉強することで、勉強がより能動的なものとなり、自分の知識として定着しやすくなります。
なんでもメモノート、ぜひつくってみてください。
新人看護師は時間を有効に使って楽しく勉強しよう!


今回は、新人看護師の勉強方法について解説しました。
新人看護師の勉強において大切なことは、理由や根拠を正しく理解するために、まとめノートや関連図を使って頭の中を整理していくことです。
忙しくても勉強を毎日の習慣にし、時間を見つけながら効率的にすすめていきましょう。
自分が勉強したことが臨床で使えたときや患者さんのためになったときの達成感や充実感が、看護師としてのやりがいに繋がっていきます。
その瞬間を積み重ねていけば、看護や勉強が楽しくなり、看護師としての成長にも繋がり、自分に自信がついていくはずです。
せっかく勉強するなら、自分に合った方法で、正しくそして楽しく勉強していきましょう。
勉強方法に関する悩みや困りごとがあれば、なんでもメッセージください。
全力でお答えします。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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