
「HSPは看護師に向いていないのかな?」
「HSPで看護師の仕事が辛いな」
などと悩んでいませんか?
HSPは病気ではなく気質であるため、それ自体を治すことや変えることは残念ながら難しいのですが、工夫次第で上手く付き合っていくことはできます。



わたしもHSPです。
過去には「うつ病」で休職した経験もありますが、自分に合った働き方をみつけられた今、とても楽しく働けています。
今回は、筆者の経験も織り交ぜながら、つぎのことを解説していきます。
- HSPが看護師に向いていない理由
- 看護の仕事にHSPの特性を活かすためのポイント
- HSP看護師が働きやすい職場
- HSP看護師が辛いときの対処法
HSPの看護師はぜひ最後まで読んでみてください。
あなたの心が少しでも軽くなりますように。
HSPが看護師に向いていない理由8つ


HSPが看護師に向いていない理由は8つあります。
- 正義感や責任感が強すぎる
- 情報を深く処理しすぎる
- 自分のペースを乱されることが苦手
- 人との関わりが多く疲弊する
- 人との関わりが多く疲弊する
- 他者に共感しすぎる
- 女性が多い環境で疲弊する
- 自己否定してしまう傾向にある
正義感や責任感が強すぎる
HSPの人は真面目で正義感が強い人が多いため、依頼された仕事を断れなかったり、他のスタッフが困っていれば誰よりも早く助けの手を差し伸べたりといったことが起こります。
筆者も病棟で勤務している際はまさにそうでした。
大変そうな人がいれば、自分の仕事が終わっていないにも関わらず「何か手伝えることはありますか」といってみたり、考え事をしている後輩に対して「何か困ってる?相談にのるよ」といってみたり。
時には次の勤務帯の人の仕事まで手伝って、しなくても良い残業をすることもありました。
自分で自分の首を絞めてしまっていたことに、後から気づかされました。
情報を深く処理しすぎる
HSPの人はさまざまな情報に対して敏感です。
常に、あらゆる刺激に対する感度の高いアンテナが張られているようなイメージです。
そしてHSPは物事を複雑かつ深く考えてから実行するため、一つひとつの仕事に注ぐ労力が大きく時間がかかってしまうことも、ストレスにつながります。
ましてや看護の仕事となると人の命を預かるというプレッシャーがのしかかってくるため、一つひとつの情報を深く考えすぎてしまうことがあります。
HSP看護師は、HSPではないスタッフであればスルーできるようなことや気にならないような些細なことにも気が付いてしまいます。
完璧主義と相まってすべてを完璧にカバーしようとした結果「あれもやらなきゃ」「これもやらなきゃ」と、仕事もストレスも貯まっていく一方です。
自分のペースを乱されることが苦手
HSPの人は自分のペースを乱されるのが苦手です。
看護の現場では、急変や急な検査出し、緊急入院など勤務開始時には予測できなかったような事態が発生することもよくあります。
HSPの看護師はそのような予測できない変化に対して大きなストレスを感じ、消耗してしまいます。
また、職場によってはペアナーシングが導入されていることもあることでしょう。
他の看護師とペアを組んで仕事にあたることで助けられることがある反面、自分自身のペースが乱れ疲れてしまうこともあります。
ペアの看護師との相性が悪ければなおさらです。
人との関わりが多く疲弊する
看護師という職業は、患者さんやご家族はもちろんのこと、看護スタッフや医師などの他職種など多くの人とのコミュニケーションを余儀なくされます。
特に多職種連携の場面では看護師があらゆる職業の橋渡し役になることも多いです。
このように多数の人と関わる看護の現場では、外部刺激に弱い特性をもつHSPにとって負担となってしまうことがあります。
筆者も病棟時代には時に患者さんから心無い言葉をいわれたり、先輩から理不尽なことをいわれたり、また時には医師間の板挟みになったりということがありました。
看護師はただでさえコミュニケーション能力が求められる仕事であるのに加え、HSPは常に気を張った状態で仕事をしているため、気を使いすぎて自分自身が疲れてしまいます。
また、HSPの真面目さや誠実さゆえに皆から頼られやすくなることでキャパオーバーとなってしまうこともあります。
他者に共感しすぎる
HSPは他者に共感するのが得意な人が多いです。
それ自体は良好な人間関係を構築するうえでも良いことなのですが、必要以上に感情移入してしまうと他者に対して過剰に同調したり、他者の気持ちに引っ張られてしまったりと自分自身の心がもたなくなってしまいます。
看護師の場合は、特に患者さんやご家族に感情移入してしまうことが多いです。
「仕事は仕事、自分は自分」というように割り切ることができるのがベストなのですが、私を含めHSP看護師は気持ちの切り替えが苦手な人が多いのではないでしょうか。
女性が多い職場で疲弊しやすい
最近では男性看護師も増えてきてはいるものの看護の現場はまだまだ女性が多い現状にあり、女性社会ならではの噂話や陰口などに悩まされることがあります。
HSPの人は、誰かがこそこそ話をしていたら「私のことをいっているのかな?何か悪いことでもしたかな?」という考えが湧いて悶々としてしまったり、噂話や悪口の対象が自分ではなく他の人であったとしても、そのような話を耳にしただけで疲弊してしまったりします。
自己否定してしまう傾向にある
HSPの人は自分に対して否定的になってしまいがちです。
それは、他者と自分とを比較して自己嫌悪感を抱いたり、刺激が気になりすぎるあまり緊張や不安などにより本来の力を発揮できなかったりするからです。
また、HSPの人は他者からの評価でしか自分のことを認めてあげられないことがあります。
筆者もまさしくそうでした。
先輩から褒められたときだけは少しだけ自分への評価が上がるのですが、それでも「私はまだまだだ」「もっと周りの期待に答えないと」と、自分を苦しめてしまっていました。
また、インシデントなどのミスをしてしまったときには自分のことを責めすぎてしまい、家に帰ってからも落ち込んで涙を流しているなんていうこともありました。
看護の仕事にHSPの特性を活かすためのポイント
ここまで読んで、「自分はHSPだから看護師に向いていない」と悲しい気持ちになってしまったHSP看護師さん。大丈夫です、安心してください。
HSPの特性をポジティブに捉えれば、看護師の仕事に活かせることもたくさんありますよ。
ここからは、HSP看護師の強みを5つ解説していきます。
- 患者さんの小さな変化やニーズに気づける
- 辛い立場にある人の気持ちを理解できる
- 誠実で信頼されやすい
- 真面目で人の役に立てることに喜びを感じる
- 危機管理能力が高い
患者さんの小さな変化やニーズに気づける
HSPの特性を活かせば、患者さんの小さな変化に気づけます。
異常の早期発見はもちろんのこと、あまり自分のことや要望を口にしたがらない患者さんのニーズを汲み取る能力にも長けており、個別性のある看護を提供することができます。
筆者も、前勤務者が気が付かなった患者さんの異変に気が付くことができ、患者さんの急変を防げた経験があります。その察知能力は医師からも驚かれました。
HSPならではの丁寧な看護は、患者さんや医療スタッフからの信頼にも繋がります。
辛い立場にある人の気持ちを理解できる
共感力の強さを活かして、辛い立場にある患者さんやご家族の気持ちに共感することができます。
患者さんやご家族の話しに耳を傾け心のケアをおこなう「傾聴」も、立派な看護の一つです。
寄り添ってくれる看護師がいたら、患者さんやご家族は心強いはずです。
患者さんからのその気持ちが、またHSP看護師の喜びや達成感、やりがいへと繋がっていきます。
誠実で信頼されやすい
HSP看護師は周りの人に対する配慮ができる点や仕事に対して真面目に取り組む点で誠実さが評価され、信頼されやすいです。
また、さまざまな人の立場や気持ちを理解することができる特性とコミュニケーション能力を活かすことによって、チームの協調性を高めることにも繋がりチーム医療に貢献できる可能性があります。
真面目で人の役に立てることに喜びを感じる
HSPの人は誠実で人の役に立つことが好きな傾向にあるため、看護の仕事にやりがいを感じ、達成感や充実感を得ることができます。
単に仕事だからという理由だけで看護と向き合うよりも、やりがいを感じながら活き活きと働けたら嬉しいですよね。
観察力や共感力があり教育者の素質がある
HSPは共感力や観察力に長けているため、患者さんとの関わりではもちろんのこと後輩育成や学生指導などにおいても優れた力を発揮することができます。
後輩や学生が置かれている状況を汲み取り一人ひとりに合わせた助言ができたり悩みに寄り添ったりと、後輩からも慕われます。
危機管理能力が高い
HSPは鋭い観察力や洞察力を持ち合わせていることが多いため、危機管理能力を備えています。
看護の現場では、患者さんの命を守るために常に危機管理能力が求められます。
「これ、大丈夫かな?」「前と違っているな」などの些細な気づきやひらめきが、個人としての、そして職場全体としてのリスクマネジメントにつながります。
HSP看護師が快適に働くための方法
HSP看護師の特性を踏まえたうえで、HSP看護師が快適に働くために大切なことは、自分を大切にすることです。
具体的なポイントは2つ。
- HSPである自分の特性を理解する
- ストレスを貯めこまない
HSPである自分の特性を理解する
まずは、HSPである自分自身の特性をよく理解しましょう。
同じHSPであっても苦手な刺激は人によって異なります。
自分にとってどのようなものや人、環境がストレスになりやすいのかをしっかりと理解し、ストレス源をできる限り遠ざけましょう。
機嫌が悪そうなスタッフがいたらその人の機嫌を取りたくなってしまうのがHSPの特徴ですが、その必要はないため距離をおきましょう。
ストレスを溜めこまない
HSP看護師はそうでない看護師に比べて余計なストレスを抱えがちです。
「ストレスを感じるな」というのは難しいことですので、できる限りストレスを溜め込まないように工夫しましょう。
睡眠や休息をしっかりとることはもちろんのこと、好きな音楽を聞く、映画を見る、心の許せる友人に話を聞いてもらうなど、自分がストレス発散になると思うことであればどんな方法でも問題ありません。
筆者は、一人で過ごす時間を大切にしていました。
一人の時間は刺激が少ないだけでなく、自分の好きなものだけを食べて、好きなことだけをして、何にもとらわれることなく心を開放させてあげることができます。
HSPで仕事が辛いときの対処法
HSP看護師が快適に働くための方法を解説しましたが、それでも看護の仕事が辛いと感じることもあるでしょう。
そのような場合の対処法は3つあります。
- 休む
- 転職する
- 全く違う仕事を始める
それぞれについて解説します。
休む
今後について冷静に考えるためにも、休んでゆっくり考える時間を作ることをおすすめします。
有給を使って連休をとったり、思い切って休職することもおすすめです。
まずは、疲れ切った心と体を回復させ、今後のことはそれから考えましょう。
転職
HSPにとって、どの環境に身を置くかは非常に重要です。
看護師には夜勤があることも多く職場で過ごす時間が長くなりがちですので、快適な空間に身を置くようにしましょう。
例えば、HSP看護師には急性期病棟や救急外来などよりは、以下のような患者さんの入れ替わりが少なく、業務がある程度ルーチン化されている職場がおすすめです。
- 慢性期病棟
- 回復期病棟
- 療養施設
- 介護施設
- 美容クリニック
- デイサービス
看護師はまだまだ売り手市場ですので、一つの職場に固執せず、自分にとって快適な部署や職場を探してみましょう。
また、このことは新人さんにも同じことがいえます。
新人HSP看護師でも「経験が少ないから転職できない」と卑屈になることはありません。
きちんと知識や技術をフォローしてくれる職場もあるはずですので、求人サイトなどに登録してみるところから始めましょう。
全く違う仕事をはじめる
看護師だからといって、看護師以外の仕事をしてはいけないなんてことは全くありません。



私は、病棟看護師自体にうつ病を発症したことがきっかけとなり、いまはフリーライター×派遣看護師として生計を立てています。
「ストレス源をなるべく排除して自由に生活したいけれど、好きな看護の仕事も辞めたくはない」という考えから、派遣看護師×ライターという形に落ち着きました。
人との関わりが少なく自分のペースを乱されることもないため、自分を大切にしながら働くことができています。これは快適以外のなにものでもありません。
また、ライターという仕事においてはHSPの特性が大変役立っています。
読み手のニーズを考えることや求められる記事を作るという作業はとても楽しいです。
そして、雇用形態についても筆者は必ずしも正社員でいる必要はないと考えています。
看護師は派遣でもある程度のお給料がもらえますし、派遣会社によっては社会保険なども充実しています。もちろん、看護師以外の仕事をアルバイトやパートから始めてみることだって可能です。
あなたは今まで大変な環境で看護師として精いっぱい頑張ってきたのですから、一度自分自身を思いきり開放してあげてみませんか?
やりたいことや好きなこと、そして居心地が良い場所をみつけてみましょう。
多少お給料が下がってしまったとしても、自分の生きやすさや働きやすさには変えられません。
HSPの特性を活かせる職業は看護師以外にもたくさんあります。人生は長いので、一つのことに固執する必要はないです。
まとめ
今回はHSPが看護師に向いていない理由、看護の現場でHSPの特性を活かしながら快適に働く方法、どうしても仕事が辛い時の対処法について解説しました。
HSPでも自分で自分を守ってあげることができれば、看護師として快適に働くことができます。
そればかりでなく、患者さんやご家族に寄り添ったケアをおこなうことができ、看護の仕事の醍醐味を味わうことができます。
まずは、HSPである自分自身の特性をきちんと理解しましょう。
そのうえで今の職場や部署が辛いと感じれば、部署移動や転職、そして看護以外の仕事をやってみるという道もおすすめです。
自分を大切にできる働き方が見つかりますように。
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