夜勤、不規則勤務、命を預かるプレッシャー…。
看護師の仕事は体力的にも精神的にもハードで、心身の調子を崩してしまう人は少なくありません。

私も、看護師6年目のときに「うつ病」と診断されて
1年間休職した経験があります。
うつ病だけに限らず、本来病気になってしまったときには療養に専念すべきです。
しかし、看護師という職業柄責任感が強い人が多いことや金銭面の心配などから、体がSOSサインを発しているにも関わらず「休む」という決断ができずに、悪循環に陥りやすい傾向にあります。
そこで今回は、うつ病をはじめとする精神疾患を診断された看護師や、診断は受けていなくとも仕事に対する精神的ストレスが大きい看護師に向けて、今すぐとるべき行動6選、そして反対にしてはならない行動3選をご紹介します。
この記事にたどり着いてくれたあなたの心が少しでも楽になるためのお手伝いができたらと思いますので、ぜひ最後まで読んでみて下さい。
うつ病とは
日常生活に支障が出るほどの強い気分の落ち込みや意欲の低下が続く疾患
発症の原因は明らかになっていませんが、精神的・身体的ストレスが感情や意欲を司る脳の機能を障害しているのではないかと考えられています。
また、身体疾患や内服治療が原因となってうつ病を発症することも報告されています。
日本では100人のうち6~7人に発症するといわれており、決して珍しいものではなく、誰もが発症する可能性のある疾患です。
しかし。



私に限ってうつ病になることはないわ♪
こう考えている看護師も少なくないと思います。
学生時代にうつ病について勉強したからこそ、「自分は大丈夫だ」と過信してしまうこともあるでしょう。



私もそのうちのひとりでした。
症状が出始めてから半年もの間「うつ病」に気づけず、
「もっと早く対処できてれば」と後悔が絶えません。
私のようにならないためにも、まずはうつ病について正しく理解しておくことが重要です。
うつ病の症状
うつ病の症状は、精神症状と身体症状の2つにわかれます。ここ、重要です。
うつ病によくみられる症状をご紹介します。
- 一日中気分が落ち込んでいる
- 何をしても楽しめない
- 以前は楽にできていたことが、今ではおっくうに感じる
- 毎日の生活に充実感がない
- 無関心になる
- 不安や焦り、イライラ感がある
- ぼんやりすることが増える
- マイナス思考になる
- 集中できずミスが増える
- 頭痛
- 倦怠感
- 食欲不振または過食j
- 腰痛
- 下痢または便秘
- 生理不順
- 性欲減退
- 肩こり
- 胃の不快感
- 睡眠障害
- 耳鳴り
厚生労働省「うつ病」
うつ病|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
筆者は、初めてうつ病と診断された際、精神症状の自覚は一切ありませんでした。
そのため、甲状腺の病気や悪性腫瘍などの身体疾患を疑っていました。



頭痛、肩こり、胃の不快感、吐き気、下痢を主訴に内科を受診するも、
身体的な異常は認められず。
心療内科に紹介され、「うつ病」の診断に至りました。
うつ病の症状の出方や種類は、個人によって大きく異なりますが、身体症状しか出ないこともあるということを覚えておいてほしいです。
看護師がうつ病を発症しやすい理由3選
- 命を預かる仕事で、ミスが許されないプレッシャー
- 人間関係のトラブルが起こりやすい
- 夜勤や不規則勤務などにより生活リズムが崩れやすい
日本におけるうつ病の生涯有病率は約7.5%であるのに対し、アメリカのある研究では看護師の有病率は18%であると発表されており、一般の人の倍以上であることがわかります。
ちょっとしたミスが患者の体調を悪化させたり、最悪の場合命を落としたりといったことに繋がるプレッシャーは計り知れません。
そして、女性が多い職場であることや年功序列の考え方が残っている場合があることから、人間関係がストレスになって消耗してしまうことも多いのが事実です。
また、人間関係のトラブルは医療者同士だけでなく、患者様やそのご家族との間にも起こることがあります。
さらに、看護師には夜勤や不規則勤務が求められることが多く生活リズムが崩れやすいことから、不眠などの睡眠障害を発症し、うつ病に繋がってしまうことがあります。
このように、看護師の仕事にはうつ病の原因となる要素がたくさんあることがお分かりいただけたかと思います。
看護師がうつ病と診断されたらすべきこと6選
休む
うつ病と診断されたら、まず何よりも休むことが重要です。
他の疾患でも「早期発見早期治療が重要」といわれるように、うつ病も早期治療が重要です。その治療の一環が「休むこと」となります。
横になって身体を休めることはもちろんのこと、うつ病はエネルギーが枯渇した脳疲労状態ですので、とにかく脳を休めてあげることが大切です。
うつ病の症状や病状には個人差があることを承知のうえでいいますが、正直、仕事をしながらうつ病の急性期を乗り越えるのは難しいと筆者は考えます。
上司に報告したうえで、休職する勇気をもつことが重要です。
うつ病と診断されたばかりのときは、戸惑いや不安、焦りが強いことでしょう。
特に看護師には責任感が強い人が多いため、余計に不安を感じやすくなります。



私も
「自分がうつ病であるわけがない」
「皆に迷惑をかけてしまう」
「早く復帰しなきゃ」
と不安が頭のなかをぐるぐるし、
休職しているのにも関わらず
セルフブラック企業状態となってしまっていました。
しかし、そのような状況ではうつ病はなかなか良くなりませんでした。
「自分はいままでたくさん頑張ってきたから、大人の夏休みをもらう権利がある」というように開き直るようにしてから、うつ病の症状の改善スピードが早まっていくことを実感しました。
脳疲労を取るためには質のよい睡眠が大切ですが、とはいえ一日中睡眠がとれるわけではありませんよね。
体調に合わせてテレビや好きな映画をみたり、音楽をきいたりしながらゆったりと過ごしましょう。
もちろん、「何を観ても内容が頭に入ってこない」「何もしたくない」というときは、心の声にしたがって、目を閉じて横になって過ごしましょう。
そのうち自然に「何かしたい」という気持ちが湧いてきますので、それまでは決して無理をしないことが重要です。
受診する
うつ病と診断された場合や、もしかしたらうつ病かもと思ったときには、迷わず精神科や心療内科を受診しましょう。
精神科の受診を敷居が高いと感じる人は少なくないことでしょう。



私もそう考えていました。
でも、実際にクリニックに行ってみると、そこは内科や外科のクリニックと何も変わりません。
「苦しんでいるのは自分だけではないんだ」と安心感を覚えました。
最近は、美容クリニックのような明るい雰囲気の心療内科クリニックも数多くありますので、まずは一度受診してみましょう。
もちろん、うつ病と診断されてからも受診を継続することが大切です。
医師から薬が必要だと判断されれば、用法・用量を守ってきちんと服薬しましょう。



服薬に関して抵抗があることは、筆者もよく理解できます。
しかし、抗うつ薬を内服し始めてからは体が楽になっていくことを実感し、「薬よありがとう」と思うようになりました。
医師や薬剤師から、薬の作用・副作用についてきちんと説明してもらったら、自分ではあまり深刻になりすぎずに薬を飲むことをおすすめします。
また、自分の判断で服薬を中断することは厳禁です。
治療は、医師と相談しながらおこなっていきましょう。
あなたは、決められた間隔できちんと病院を受診するだけで大丈夫です。あとは医師がなんとかしてくれます。
補償を受ける


うつ病で休職するとなると金銭面への不安が募りますが、休職中には傷病手当金を受け取ることができますので安心してください。
傷病手当金とは、病気やケガで連続する3日間を含み4日以上の休職を余儀なくされた場合にその人と家族の生活を保障するための制度です。
支給を開始された日から最大で1年6ヵ月の間、給与の2/3が保障されます。
手続きには医師の診断書などが必要になりますが、医師や職場の指示に従っておこなうだけで大丈夫です。
お金の不安は尽きませんが、先述したとおりうつ病の治療では脳を休ませることが最も重要です。
誰にでも保障を受ける権利がありますので、安心して療養しましょう。
日光を浴びる


うつ病療養中は家で過ごす時間が長くなりますが、日光に当たることを意識しましょう。
日光浴をすることでセロトニンという「幸せホルモン」が分泌されます。
セロトニンはうつ病の改善に効果的であることがわかっていますので、部屋のカーテンを開けるだけでもかまいませんので日の光を浴びるようにしましょう。
体調に合わせて、外で日光浴をしたり、散歩をしたりすることもおすすめです。
生活リズムを整える
うつ病の治療には生活リズムを整えることも大切です。
もちろん急性期にはあまり考えすぎなくても良いのですが、できる限り朝に起きて夜に寝るというペースを崩さないようにしてみましょう。
好きなことをする
うつ病療養中は、本能のままに好きなことだけをして過ごすのをおすすめします。
「休んでいる立場だから遊んではいけない」「楽しいことをしてはいけない」というのは大きな間違いです。
ゲームをしたりテレビを見たり、体調が回復したら気の許せる友達とランチに行ったり旅行に行ったりすることで充実感や幸せを感じることができると、脳が休まりうつ病の改善に繋がります。



私は、愛犬に助けられたことを覚えています。
愛犬と一緒に昼寝をしたり遊んだりしている時間は、病気のことや仕事のことを忘れることができました。
自分がしたいと思ったことがあれば、ぜひその気持ちを尊重してあげてください。
看護師がうつ病と診断されたらしてはいけないこと3選
今後についての決断を急ぐ
うつ病で休職すると、「いつ復職できるかな?」「転職した方がいいかな?」「退職はどうやってしよう」などと、今後についての不安が尽きなくなります。
ですが、うつ病の症状が顕著に出ている時は、転職や退職などの大きな決断はしないことをおすすめします。
その決断に至る過程や決断自体がストレスになる他、冷静な判断ができず後から後悔することにもなりかねません。
今後についての決断は、医師からその話しが出るまではしないようにしましょう。
飲酒
うつ病療養中の飲酒はおすすめできません。
抗うつ薬などとの相性が悪い他、生活リズムが崩れやすく治療の妨げとなることがあります。
辛い時やしんどい時にお酒に頼りたくなる気持ちは良くわかりますが、できる限り我慢しましょう。
無理をする
うつ病療養中に無理をしてはいけません。これが、簡単なようで難しいのです。
可能であれば家族やパートナーの力を借りて、生活を助けてもらいましょう。
何度もいいますが、今のあなたの仕事は休むことです。
療養に徹することが、回復を早めることになります。
王様やお姫様になったつもりで、ひたすら休みましょう。
まとめ
今回は、看護師がうつ病と診断された場合の過ごし方について解説しました。
看護師は、うつ病になりやすい職業。
もしうつ病と診断されたら、可能な限りは休職し、何も考えずに休むことに専念しましょう。
あなたが頑張るべきことは休むことのみで、その他は頑張らなくて良いです。
今後、うつ病が改善してきた時にすべきことについても執筆していきますので、そちらの記事もご覧いただけると幸いです。
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